今日もそう。
だけど、私達の周りで少しずつ何かが変わってきている。
この変化がみんなの幸せにつながるものなのか私にはわからない。
セナはミューズでとうとう歌手になる夢をつかんだ。
もうレコーディングもすませ、歩き始めている。
ナレもそう。
セナのマネージャーとして一緒に夢を追い始めた。
ミンジだってようやく夢を見つけた。
その夢のために一生懸命勉強を始めている。
今日スタジオで会ったソンジェさんはもう医者の勉強も辞め、音楽の道を進もうとしている。
あの時、電子ピアノをひいていたソンジェさんは生き生きとしていた。
そう思うと音楽の道を歩み始めたことはソンジェさんの夢が近づいたことになる。
でも、スタジオで会ったソンジェさんの表情はどこか硬かった。
ソンジェさんは本当に夢を追いかけているのかしら?
心の中で問いかける。
「ガチャ」
何も答えがない代わりにドアの開いた音が聞こえた。
ドアが開き、微かにタバコの香りを感じ、穏やかな足音が聞こえた。
「おかえりなさい」
小さく囁いた私の声に答えるように室長は私を優しくうしろから抱きしめてくれた。
ごめんなさい。
室長のことを考えてなくって・・・
腕のぬくもりが伝わるとき心の中でつぶやいた。
だけどソンジェさんのことを話してもいいのかしら
でもいつかはわかることかもしれない。
同じ業界なのだから・・・
そう思い、セナのレコーディングに立ち会っていたソンジェさんのことを話したとき、室長は何か考えている様子だった。
室長には思い当たることがあるのかしら。
私には室長のお仕事のことはわからないことが多い。
だから今は、できることなら疲れたあなたを少しでも癒してあげいた。
そう思いあなたの手に触れる。
少し苦し気なあなたの息が私の耳元に伝わるとき、
私はもう一つの手であなたの腕に触れる
言葉にならない気持ちが少しでも伝わることを祈って・・・


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